ガンステッド・リスティングとは?

ガンステッド・カイロプラクティックでは、リスティングという共通の言語を使用し、脊椎や骨盤の傾きなどを英語のアルファベットの頭文字で表しています。リスティングは、ガンステッド・システムである視診、静的触診、動的触診、レントゲン評価から決定していきます。
このリスティングによって、世界中のカイロプラクターと共通の認識を持つことが可能となり、複数の先生が1人の患者様を担当する際や、患者様を紹介する際にも一貫したケアを提供するのにも大きく役に立つことができます。
またリスティングは、アジャストメントする際に患者様をどのような姿勢で寝かせ、脊椎のどの部位にコンタクトし、どの方向にアジャストメントを行うか、どのくらいのひねりを加えるのかが決まります。
頚椎では140個、胸椎では153個、腰椎では100個、仙骨&腸骨では38個、尾骨では24個、全脊柱合計455個のリスティングが存在しています。
Contents
基本的なリスティング用語(頭文字)
Posterior( 後方 )
Anterior ( 前方 )
Superior( 上方 )
Inferior またはInferior ( 下方 )
Right( 右 )
Left( 左 )
External( 外転 )
Internal( 内転 )
Spinous Process ( 棘突起 )
Lamina( 椎弓 )
Transverse Process( 横突起 )
Mamillary Process( 乳頭突起 )
Base Posterior( 仙骨基底部後方変位 )
全てのリスティング
頚椎:140個 胸椎:153個 腰椎:100個 仙骨&腸骨:38個 尾骨:24個 合計455個
腸骨のリスティング(Ilium Listing)
腸骨のリスティングでは、骨盤を構成する腸骨と仙骨の位置関係を表します。ガンステッド・カイロプラクティックでは、レントゲン写真の分析を中心にミリ単位で位置関係を相対的に表記します。
レントゲン評価や姿勢の確認、触診などから得た情報を総合して、腸骨の相対的な位置関係をリスティングとして決定します。
前後の腸骨リスティング(PI&AS)
腸骨のリスティングには、まず前後の変位が存在しています。後下方変位の腸骨をPI(Posterior Inferior)と表します。前上方変位の腸骨をAS(Anterior Superior)と表します。
左右の腸骨リスティング(IN&EX)
腸骨のリスティングには、前後の変位のほかに左右の変位が存在しています。正常な骨盤は、仙骨の中心と恥骨結合の配列が等しくなります。内転変位の腸骨をIN(Internal)と表し、外転変位の腸骨をEX(External)と表します。
正常な腸骨
腸骨の変位
仙骨のリスティング(P-R&P-L)
仙骨は左右の仙腸関節と腰仙関節の3つの関節面が存在しています。正常な仙骨は、仙骨の中心から両幅が等しくなります。仙腸関節に対して仙骨が変位する場合は後方に軸転します。右後方変位の仙骨をP-Rと表します。左後方変位の仙骨をP-Lと表します。その際レントゲン上では、仙骨が後方軸転している側の幅が増大します。
腰仙関節に対して仙骨が変位する場合は仙骨の基底部が後方変位(Basa Posterior)します。その際レントゲン上では、腰椎5番の椎間板の後方部の開きが確認され、腰椎5番の椎体より後方に仙骨基底部が変位します。
正常な仙骨
仙骨の変位(P-L)
腰椎のリスティング(Lumbar Listing)
① 後方変位:Posteriority(P)
腰部レントゲン側面像から後方変位の確認を行います。脊柱すべての椎間板(環椎は除く)は、左右前後どこをとっても等しい高さです。しかし土台のゆがみによって椎間板にストレスが加わります。
椎間板の後方部は前方部より耐久性が弱いので後方部の椎間板のスペースが減少し、椎骨が後方下方へ傾きます。これが1番目のリスティングの“P”(後方変位)になります。
② 軸転変位:PR&PL
2番目のリスティングは、腰部レントゲン正面像から軸転変位の確認を行います。軸転変位は、“R”(右軸転)と“L”(左軸転)の2つに分類されます。
棘突起が右に軸転していればPR、左に軸転していればPLとなり、1つ1つの椎骨の軸転変位を表します。
③ 左右の椎間板の開き(オープンウェッジ):PRS&PLS&PRI-M&PLI-M
3番目のリスティングも同様に腰部レントゲン正面像から左右の椎間板の上方と下方変位の確認を行います。上方と下方変位は、”S”と“I”の2つに分類されます。棘突起が軸転している側の椎間板が上方または、下方に傾いているのかを評価します。
棘突起が軸転している側の椎間板が上方であればPRS&PLSとなり、棘突起の軸転している側の椎間板が下方であればPRI-M&PLI-Mとなります。-Mとは、乳頭突起(Mamillary Process)の頭文字の”M“を意味し、アジャストメント時のコンタクトする場所を表しています。
胸椎のリスティング(Thoracic Listing)
① 後方変位:Posteriority(P)
胸部レントゲン側面像から後方変位の確認を行います。胸椎の椎間板は、頚椎、腰椎に比較するとほとんど発達していません。
そのため脊椎の他の領域と比較すると、胸椎の椎間板の厚さは、椎体の厚さに対して薄い形状をしています。そのため実際にレントゲン上での後方変位を特定することが困難になります。
② 軸転変位:PR&PL
2番目のリスティングは、胸部レントゲン正面像から軸転変位の確認を行います。軸転変位は、“R”(右軸転)と“L”(左軸転)の2つに分類されます。棘突起が右に軸転していればPR、左に軸転していればPLとなり、1つ1つの椎骨の軸転変位を表します。
③ 左右の椎間板の開き(オープンウェッジ)
3番目のリスティングも同様に胸部レントゲン正面像から左右の椎間板の上方と下方変位の確認を行います。上方と下方変位は、”S”と“I”の2つに分類されます。
棘突起が軸転している側の椎間板が上方または、下方に傾いているのかを評価します。棘突起が軸転している側の椎間板が上方であればPRS&PLSとなり、棘突起の軸転している側の椎間板が下方であればPRI-T&PLI-Tとなります。-Tとは、横突起(Transverse Process)の頭文字の”T“を意味し、アジャストメント時のコンタクトする場所を表しています。
頚椎(C2~C7)のリスティング(Cervical Listing)
① 後方変位:Posteriority(P)
頚部レントゲン側面像から後方変位の確認を行います。脊柱すべての椎間板(環椎は除く)は、左右前後どこをとっても等しい高さです。しかし土台のゆがみによって椎間板にストレスが加わります。
椎間板の後方部は前方部より耐久性が弱いので後方部の椎間板のスペースが減少し、椎骨が後方下方へ傾きます。これが1番目のリスティングの“P”(後方変位)になります。
② 軸転変位:PR&PL
2番目のリスティングは、頚部レントゲン正面像から軸転変位の確認を行います。軸転変位は、“R”(右軸転)と“L”(左軸転)の2つに分類されます。 棘突起が右に軸転していればPR、左に軸転していればPLとなり、1つ1つの椎骨の軸転変位を表します。
③ 左右の椎間板の開き(オープンウェッジ)
3番目のリスティングも同様に頚部レントゲン正面像から左右の椎間板の上方と下方変位の確認を行います。上方と下方変位は、”S”と“I”の2つに分類されます。
棘突起が軸転している側の椎間板が上方または、下方に傾いているのかを評価します。棘突起が軸転している側の椎間板が上方であればPRS&PLSとなり、棘突起の軸転している側の椎間板が下方であればPRI-L&PLI-Lとなります。-Lとは、椎弓(Lamina)の頭文字の”L“を意味し、アジャストメント時のコンタクトする場所を表しています。
頚椎(C1)のリスティング(Atlas Listing)
① 前方上方変位(AS)&前方下方変位(AI)
頚部レントゲン側面像から確認を行います。環椎には椎間板が存在しないので他の頚椎の変位とは異なります。正常な頚椎1番(C1)は、頚椎2番(C2)と並行になります。
C1には、前方が上方に変位する場合と、下方変位する2種類のリスティングが存在しています。これが1番目のリスティング“AS”と“AI”変位になります。
② 側方変位
・右側方変位(ASR&AIR)
・左側方変位(ASL&AIL)
2番目のリスティングは、頚部レントゲン正面像から側方変位の確認を行います。側方変位は、“R”(右側方)と“L”(左側方)の2つに分類されます。
正常なC1は、C2の椎体に対して平行になりますが、C2に対してC1が右オープンウェッジ(右側方変位)している場合をASRまたはAIRとなります。C2に対してC1が左オープンウェッジ(左側方変位)している場合をASLまたはAILとなります。
③ 軸転変位
・前方変位(A):ASRA&ASLA&AIRA&AILA
・後方変位(P):ASRP&ASLP&AIRP&AILP
3番目のリスティングも同様に頚部レントゲン正面像から軸転変位の確認を行います。レントゲン上でのC1の軸転変位は、外側塊の横幅で評価します。外側塊の幅が大きい側が前方変位(A)、小さい側が後方変位(P)となります。
軸転変位は、側方変位の“R”と”L”のリスティングを特定した後、側方変位している側の軸転変位を特定していきます。右に側方変位が確認され、右の外側塊の幅が大きい場合は、ASRAまたはAIRAとなります。
後頭骨のリスティング(Occiput Listing)
① 後方上方変位(PS)&前方上方変位(AS)
頚部レントゲン側面像から確認を行います。後頭骨には椎間板が存在しないので他の頚椎の変位とは異なります。正常な後頭骨(OCC)は、C1と並行になります。後頭骨には、後方が上方変位する場合と、前方が上方変位する2種類のリスティングが存在しています。
評価としてC1の後結節と後頭骨の空間は広がる場合はPS後頭骨、C1の後結節と後頭骨の空間は狭まる場合はAS後頭骨になります。これが1番目のリスティング“PS”と“AS”変位になります。
PS後頭骨
AS後頭骨
② 側方変位
・右側方変位(PS‐RS&AS‐RS)
・左側方変位(PS‐LS&AS‐LS)
2番目のリスティングは、頚部レントゲン正面像から側方変位の確認を行います。側方変位は、“R”(右側方)と“L”(左側方)の2つに分類されます。
正常な後頭骨は、C1に対して平行になりますが、C1に対して後頭骨が右オープンウェッジ(右側方変位)している場合をPS‐RSまたは、AS‐RS となります。C1に対して後頭骨が左オープンウェッジ(左側方変位)している場合をPS‐LSまたは、AS‐LS となります。
③ 軸転変位(RP&RA)(LP&LA)
・前方変位(A):PS‐RS‐RA&PS‐LS-LA/AS‐RS‐RA&AS‐LS‐LA
・後方変位(P):PS‐RS‐LP&PS‐LS-LP/AS‐RS‐RP&AS‐LS‐LP
3番目のリスティングは、頚部レントゲン正面像から軸転変位の確認を行います。レントゲン上での後頭骨の軸転変位は、補正作用によって頚椎1番とは逆の軸転変位を伴います。
よって後頭骨の軸転変位の特定はC1の軸転変位である、外側塊の幅で分析を行います。C1の右側が後方変位(P)していれば、後頭骨の右側は反対の軸転を伴い前方変位(A)になります。

塩川 雅士

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